2015/11/16

EU情報

英首相がEU制度改革で4項目要求、EU残留の是非問う国民投票にらみ

この記事の要約

EU離脱の是非を問う国民投票の実施を予定している英国のキャメロン首相は10日、残留の条件としているEUの制度改革をめぐり、移民に対する社会保障給付の制限など4つの要求を行ったことを明らかにした。改革案は12月のEU首脳会 […]

EU離脱の是非を問う国民投票の実施を予定している英国のキャメロン首相は10日、残留の条件としているEUの制度改革をめぐり、移民に対する社会保障給付の制限など4つの要求を行ったことを明らかにした。改革案は12月のEU首脳会議で検討が開始されるが、EU基本条約の改定が必要となることから、調整が難航するのは必至な情勢だ。

4つの要求はEUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)に書簡で伝えたもの。キャメロン首相は同日、ロンドンで行った演説で中身を明らかにした。◇英国などユーロを導入していないEU加盟国が不利な扱いを受けないようにする◇加盟国の議会の権限を強化することで、英国などEU統合の「深化」を望まない国が深化に関するルールの適用を除外される権利を確保する◇EUからの移民に対する社会保障給付を4年間は制限する◇域内の規制緩和による競争力強化――という内容だ。

キャメロン首相は2年前、移民流入急増などを受けて高まっている国内の反EU勢力の不満を抑えるため、次回の総選挙で与党・保守党が勝利し、自身が再任されればEU離脱の是非を問う国民投票を実施する意向を表明。5月の総選挙で勝利したことから、2017年末までに国民投票を実施することが決まった。

首相自身は英国のEU離脱が経済に大きな悪影響を及ぼすことから残留を望んでおり、国民投票までに制度改革をEUに認めさせ、国民の不満を吸収した上で残留を取り付けるという戦略を描いている。改革案については、これまでに非公式に言及していたが、正式発表したのは初めてだ。

4項目の要求は予想通りの内容。移民の社会保障制限、統合深化からの除外が大きな焦点で、EU基本条約の改定が求められるため、欧州委の報道官は「大いに問題がある」と評した。とくに、移民の社会保障問題は事実上の移民制限となり、EU域内の人の自由な移動を認める大原則に反することから、中東欧諸国を中心に反発を招くのは避けられない。

キャメロン首相は演説で、EUに要求をのませることは難しいと認めながらも、EUの機構運営は「柔軟性」が必要として、改革実現の必要性を強調。自身がEU残留を望んでいることを確認しながらも、要求が受け入れられなければ離脱に傾くと釘を刺した。

一方、キャメロン首相は最大の争点になると目される移民制限に関して、「別の方法があれば(協議に)応じる」として、歩み寄りの余地があることを示唆した。このため国内の反EU派からは、首相が強硬姿勢を崩して妥協したと批判する声が挙がっている。

EUは12月17~18日の首脳会議で同問題について協議する。トゥスク大統領はそれまでに加盟国間の調整を図る考えだ。