2015/11/16

EU情報

中国からの安値品が欧州鉄鋼業界を直撃、加盟国が欧州委に対抗策要請

この記事の要約

EU加盟国は9日、ブリュッセルで経済・産業担当相会議を開き、中国から大量に流入する安価な鉄鋼製品から域内産業を守るため、欧州委員会に対し「通商上のあらゆる対抗策」を講じるよう求めた。欧州鉄鋼協会(EUROFER)によると […]

EU加盟国は9日、ブリュッセルで経済・産業担当相会議を開き、中国から大量に流入する安価な鉄鋼製品から域内産業を守るため、欧州委員会に対し「通商上のあらゆる対抗策」を講じるよう求めた。欧州鉄鋼協会(EUROFER)によると、欧州では過去3カ月に約5,000人の雇用が失われ、最も深刻な影響を受けている英国では10月だけで約4,000人が解雇された。

加盟国は欧州委に対し「迅速に、あらゆる有効な手段を講じて」不公正な取引に対処するよう要請するとともに、年内に改めて会合を開いて具体策を検討することで一致した。

中国の鉄鋼生産量は8億トン超と、世界全体の生産量の約半分を占めている。中国の安価な鉄鋼製品が世界中にあふれるなか、欧州では第3四半期に同国からの輸入が急増し、価格が大幅に下落。業界最大手の欧州アルセロール・ミタルや欧州2位の印タタ・スチールなど大手は軒並み赤字に陥り、数千人規模の人員削減を断行している。業界団体は「中国によるダンピング(不当廉売)は明らか」(英国のUKスチール幹部)として輸入制限を求めており、欧州議会でも域内に輸入される中国産の鉄鋼製品に対してアンチダンピング税の賦課を求める動きが出ている。

EUは2016年末までに中国の「市場経済地位(MES)」を承認するかどうか決定する必要がある。承認すれば中国からの輸入に対して反ダンピング措置を講じることが難しくなる。米シンクタンクの経済政策研究所(EPI)が9月にまとめた報告書によると、EUが中国のMESを承認した場合、中国製品の輸入は向こう3年間で最大50%増加し、EUでは最大350万人の雇用が失われる恐れがあると試算している。EUROFERをはじめとする業界団体はMESを承認しないよう強く求めており、加盟国の間でもイタリアなどが強く反対している。