欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/12/7

東欧・ロシア・その他

ロシアの対トルコ制裁、農産物など17品目対象に

この記事の要約

ロシア政府は1日、トルコによるロシア機撃墜に対する制裁措置として決めたトルコ製品輸入禁止の対象品目のリストを発表した。農産物を中心とする17品目が対象で、来年1月1日から実施する。 輸入禁止の対象となるのはトマト、キュウ […]

ロシア政府は1日、トルコによるロシア機撃墜に対する制裁措置として決めたトルコ製品輸入禁止の対象品目のリストを発表した。農産物を中心とする17品目が対象で、来年1月1日から実施する。

輸入禁止の対象となるのはトマト、キュウリ、玉ネギ、カリフラワー、ブロッコリー、ブドウ、リンゴ、ナシ、モモ、プラム、アプリコット、ミカン、カーネーション(生花)、鶏肉、七面鳥、塩など。トルコからの輸入に大きく依存するレモン、魚は除外された。

このほかの制裁措置としては、チャーター便の運航停止やトルコ行きツアーの販売中止、ビザなし渡航撤廃に加え、ロシアでのトルコ人の就業制限やトルコ企業の業務制限などが実施される。

ロシアはウクライナ問題に関連し、昨年夏から欧州産食品の輸入を禁じており、トルコが重要な供給元となっていた。このため、今回の禁輸措置で食品価格のさらなる上昇が懸念される。

また、両国間の関係が急速に冷却化する中で、大型プロジェクトの実施にも暗雲が漂っている。ロシアがトルコとの政府間委員会の会合を延期したため、天然ガスパイプライン「トルコ・ストリーム」や、ロシア原子力公社(ロスアトム)によるトルコ初の原発建設などについての調整作業が一定期間、停止するのは避けられない。一方で、トルコへの天然ガス供給は現状のまま継続するという。トルコは需要の約半分をロシアに依存する。

トルコ・ストリームは昨年末、「サウス・ストリーム」の代替計画として発表されたが、価格交渉で折り合いがつかず、具体化がもたついている。10月にはガスプロムが輸送容量の半減を発表していた。