欧州製薬大手の仏サノフィと独ベーリンガーインゲルハイムは12月15日、事業交換に向けた交渉を行っていることを明らかにした。それぞれが強みを持つ分野を強化するための事業再編が目的で、サノフィの動物用医薬品事業、ベーリンガーの大衆薬事業が交換対象となる。
両社の声明によると、サノフィの動物薬事業の価値は114億ユーロで、ベーリンガーの大衆薬事業の同67億ユーロを上回る。このため、ベーリンガーは交換に際して、差額の47億ユーロを現金でサノフィに支払う。ベーリンガーの中国大衆薬部門は交換対象から外れる。数カ月以内の合意、2016年10~12月期の交換手続き完了を目指すとしている。
15年4月に就任したサノフィのオリビエ・ブランディクール最高経営責任者(CEO)は、動物薬事業は他の部門との相乗効果が限定されているとして、売却を検討していることを明らかにしていた。ベーリンガーとの事業交換が成立すると、大衆薬部門の売上高は51億ユーロ、世界シェアは約4.6%に拡大し、同分野で世界最大手となる。一方、ベーリンガーは動物薬部門で世界2位に浮上する。
製薬業界ではスイスのノバルティス、英グラクソ・スミスクライン(GSK)、米イーライ・リリーが14年に事業交換で合意。ノバルティスはGSKから抗がん剤事業を取得する代わりに、ワクチン事業の大部分を同社に売却。イーライ・リリーはノバルティスの動物薬事業を取得した。