欧州警察機構(ユーロポール、本部オランダ・ハーグ)に設置された「欧州テロ対策センター」が1月25日、正式に始動した。欧州でテロの脅威が高まっていることを受け、同センターが核となってEU加盟国の情報共有を進め、国境をまたいだ捜査活動を強化する。
EUでは昨年1月にフランスで発生した連続テロを教訓に、各国の捜査機関の連携強化を図るため、欧州委員会が中心となってテロ対策センターの設置準備を進めていた。センターは加盟国が派遣したテロ対策の専門家50人ほどで構成され、当面はイスラム過激派組織に戦闘員として参加した欧州出身者の監視、テロ組織の資金源根絶に向けた取り組みなどで各国当局の活動を支援する。
25日にはアムステルダムで開かれたEUの非公式内相会合に合わせてテロ対策センターの開設式が行われた。ユーロポールのウェインライト長官は記者会見で、シリアやイラクに渡ったEU加盟国の出身者は5,000人を超え、こうした過激派戦闘員の多くが欧州に戻っていると指摘。「欧州は過去10年で最も深刻なテロの脅威に直面している。EUとして強力かつ野心的な行動をとる必要がある」と述べ、テロの再発防止に向けて加盟国がこれまで以上に連携を強化する必要性を強調した。