欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/26

総合 – 欧州経済ニュース

EUのODA公約実現に黄信号、目標達成は4カ国のみ

この記事の要約

EU外相理事会が19日採択した報告書によると、EUおよびEU加盟国による政府開発援助(ODA)は2012年の総額553億ユーロから13年は565億ユーロに拡大した。国民総所得(GNI)に占めるODAの割合は0.43%で横 […]

EU外相理事会が19日採択した報告書によると、EUおよびEU加盟国による政府開発援助(ODA)は2012年の総額553億ユーロから13年は565億ユーロに拡大した。国民総所得(GNI)に占めるODAの割合は0.43%で横ばいだった。EUは15年までにODAをGNI比で0.7%まで拡大する公約を掲げているが、外相理は現在のペースでは目標の達成は困難として、EUおよび加盟国に取り組みの強化を呼びかけている。

EU加盟国は05年、国連ミレニアム開発目標の達成を支えるため、15年までにGNIに対するODAの比率をEU全体で0.7%(国別では従来からの加盟国は0.7%、新規加盟国は0.33%)まで引き上げることで合意。昨年6月のEU首脳会議でも、同公約を実現することが国際社会でEUが果たすべき最も重要な役割のひとつとの認識で一致している。

報告書によると、13年にODAが目標を上回ったのはスウェーデン(1.02%)、ルクセンブルク(1%)、デンマーク(0.85%)、英国(0.72%)の4カ国のみ。新規加盟国で0.33%の目標を達成した国は1カ国もなかった。現在のペースで推移した場合、15年にEU全体のODAはGNI比で0.45%となり、0.7%の目標を達成するには413億ユーロの上乗せが必要と試算している。

外相理は声明で、現時点で目標を達成できていない加盟国は後れを取り戻すため、「現実的な行動」を取る必要があると指摘。そのうえで「EUおよび加盟国は他のすべての先進国に対し、途上国の経済・社会的な発展に相応の貢献をするよう強く要求する」と表明している。