欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/26

総合 – 欧州経済ニュース

エネルギー安全保障の「同盟」構想、チェコが難色

この記事の要約

チェコは21日、ポーランドがEU全体で加盟国のエネルギー安全保障を強化する取り組みを進める「エネルギー同盟」の創設を提唱していることについて、域内で使用する原油や天然ガスの購入を一括して行うEU機関の設置に反対する立場を […]

チェコは21日、ポーランドがEU全体で加盟国のエネルギー安全保障を強化する取り組みを進める「エネルギー同盟」の創設を提唱していることについて、域内で使用する原油や天然ガスの購入を一括して行うEU機関の設置に反対する立場を表明した。ただ、エネルギーの安定確保に向けて「有志グループ」が加盟国のために共同で資源の調達にあたるシステムについては「支持できる」としており、今後ロシアへの依存度が特に高い中・東欧諸国を中心に議論が本格化しそうだ。

エネルギー同盟はポーランドのトゥスク首相が打ち出した構想で、将来的にEUが一括してロシアとの交渉にあたることや、国際情勢の悪化でエネルギー供給が停止するといった事態に備え、EUの資金支援で備蓄の拡大やパイプラインの拡充を図ることなどを提案している。

チェコ政府は21日の閣議で承認された文書の中で、「EUに原油と天然ガスの購入を担当する新たな機関を創設する案は基本的に支持しない」と表明。そのうえで「私的な組織が任意ベースで加盟国のエネルギー需要に対応するメカニズムの構築には賛同することができる」とし、EU全体でエネルギー安全保障を強化するため、EUに対し中・東欧地域の電力・ガス網を拡充するための資金支援を求めるポーランドの提唱を全面的に支持する立場を強調している。

天然ガス輸入量の約3割をロシアに頼るEUでは、エネルギー分野での脱ロシア依存が最優先課題の1つになっており、欧州委員会は6月末まで具体策をまとめることになっている。ロイター通信が入手した内部文書によると、欧州委はウクライナ情勢が悪化してロシアからEU向けの天然ガス供給に影響が出た場合に備え、加盟国に対して冬までにストレステストの実施を義務付けることなどを検討しているもようだ。