ユーロ圏19カ国は7日に開いた財務相会合で、キプロスへの国際金融支援が今月末で終了することを確認した。一方、同じく支援対象となっているギリシャに関しては、財政再建策の進展を条件に、債務の軽減を検討する方針を打ち出した。
キプロスは2013年3月、経済的に深い結びつきがあるギリシャの信用不安が飛び火して金融・債務危機に陥ったことから、EUと国際通貨基金(IMF)から100億ユーロの金融支援を取り付け、財政再建に取り組んできた。支援条件として銀行の再編、大手銀行の預金者に一定の負担を強いることを求められたため、取り付け騒ぎを防ぐ目的で資本規制も導入した。
その結果、危機は沈静化し、昨年4月に資本規制を全面的に解除。経済も好転し、財政改善が進んだことから、政府は支援を3月末までに脱却する方針を打ち出していた。IMFによる支援は予定より2カ月早い7日に終了。EUの支援も月末に完了する。
キプロスは支援枠のうち約30%を利用しないまま、支援を脱却する。ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は、キプロスが財政、金融、構造改革の実施によって自力で資金を調達できる状況になり、持続的成長の軌道に復帰したと歓迎の意を表した。
ユーロ圏では債務または金融危機でギリシャ、キプロス、アイルランド、ポルトガル、スペインの5カ国がEUから支援を受けた。キプロスの脱却により、支援対象国はギリシャだけとなる。
そのギリシャをめぐっては、EUが7月、総額860億ユーロの第3次金融支援を実施することで合意。これまでに約4分の1が実行された。残りは段階的に実施することになっている。ギリシャが約束した財政再建など構造改革の実行状況を定期的に検査し、“合格”と判断されることが条件となる。
1回目の検査は、年金改革をどこまで踏み込んで進めるかなどについてEUなど債権者側とギリシャ政府の見解に相違があることや、支援のあり方をめぐってEUとIMFに溝があり、停滞している。ユーロ圏財務相会合が債務軽減に言及したのは、ギリシャ政府に改革を促す意図があるほか、同国がシリアからの難民流入で多額の財政負担が生じていることを考慮したとみられる。
IMFは第1、2次支援には参加したが、ギリシャの債務問題を根本的に解消するためには債務の減免が必要と主張し、これが実現することや、ギリシャの改革が進展することを条件に3次支援に加わる方針を打ち出している。これに対してユーロ圏は、ドイツが債務軽減に難色を示し、これまで受け入れに応じてこなかった。デイセルブルム議長は「我々は包括的な対応策の一部として、債務軽減措置が必要なことを承知している」と述べ、ギリシャが1回目の検査をパスすることを条件に、ユーロ圏が「近い将来に」軽減策を検討すると述べた。ただ、ユーロ圏は債務の元本削減は認めず、債務返済期限の延長、利払い軽減などの形で実施すると目されている。