EUとキューバは11日、キューバの首都ハバナで会合を開き、関係正常化に向けた合意文書に署名した。人権問題を含めた政治対話を進め、経済面でも協力関係を強化する。
EUは1996年、スペインのアスナール首相(当時)が提唱する「欧州共通ポジション」に基づき、キューバに対して一党支配体制の終結や人権問題の改善を求めたが、キューバ側は内政干渉だとして強く反発。両者の関係が冷え込むなか、EUは2003年にキューバ政府がジャーナリストや反体制活動家を弾圧したことを受け、同国との外交関係を制限した。しかし、2008年にはキューバの民主化促進を目指して制裁措置を解除し、災害時の支援や開発援助を開始。2014年4月から関係改善に向けた協議を進めるなか、昨年7月にキューバと米国が54年ぶりに外交関係を再開したことから、EUとの間でも合意に向けた機運が高まっていた。
EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は「両者の関係が新たな段階に進む歴史的な一歩だ」と合意を歓迎した。同氏はそのうえで、米政府が国交回復後もキューバに対する経済封鎖の大枠を維持している点に触れ、キューバで活動する欧州企業にとって封鎖は大きな障害になると指摘。「対話と協力を優先すべきであり、経済封鎖は時代遅れだ」と述べ、米国に経済封鎖の全面解除を求めた。