EUは17日の首脳会議で、加盟国が独自の判断で女性の生理用品を付加価値税(VAT)の課税対象から除外できるようにすることを決めた。女性団体などは生活必需品である生理用品への課税は女性差別だと主張し、英国などで非課税化を求める声が高まっていたが、EUの規定ではこれまで認められていなかった。
首脳会議では欧州委員会が「生理用品にゼロ税率を適用する選択肢を加盟国に与える」との案を提示し、全会一致で承認された。ただ、実際の手続きや、いつから非課税とすることができるかなど詳細は不明だ。
EU指令では女性の生理用品は生活必需品に分類されておらず、税率は加盟国が設定できるものの、非課税とすることは認められていない。英国では現在、5%の軽減税率(標準税率は20%)が適用されており、税収は年間約1,500万ポンドに上る。
生理用品の非課税化を求めるキャンペーンに30万人以上が署名したことを受け、オズボーン財務相は昨年11月、税収を女性支援団体への助成金に充てる方針を打ち出した。しかし、議会内ではEU懐疑派を中心に、VAT課税の廃止を求める声が根強く、EU残留の是非を問う国民投票が3カ月後に迫るなか、キャメロン首相は生理用品に対する課税問題が残留反対の口実に利用されることがないよう、欧州委に対して現行規定の見直しを急ぐよう圧力を強めていた。
生理用品へのVAT課税をめぐっては、フランス国民議会(下院)が昨年12月、標準税率の20%から5.5%に引き下げる案を承認。今年1月から水道水や食品と同じ軽減税率が適用されている。