欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/26

EUその他

スウェーデンが欧州委を提訴、環境ホルモンの基準策定遅延で

この記事の要約

スウェーデン政府は、内分泌かく乱化学物質に関する基準策定が遅れているとして、欧州員会を欧州司法裁判所に提訴する。同国のエク環境相が22日、明らかにした。 内分泌かく乱化学物質は、環境中に存在する化学物質のうち、生体にホル […]

スウェーデン政府は、内分泌かく乱化学物質に関する基準策定が遅れているとして、欧州員会を欧州司法裁判所に提訴する。同国のエク環境相が22日、明らかにした。

内分泌かく乱化学物質は、環境中に存在する化学物質のうち、生体にホルモン作用を引き起こしたり、逆にホルモン作用を阻害するもの。環境ホルモンとも呼ばれ、代表的な物質としてダイオキシン、PCB、DDT、ビスフェノールA、トリブチルスズなどが挙げられる。欧州委は様々な製品に含まれ、健康被害をもたらす危険性が指摘される内分泌かく乱化学物質の使用の規制に向け、これらの物質の特定に必要な基準の策定を昨年12月31日までに完了することになっていたが、策定作業は終わっておらず、現在も続いている。

エク環境相は、基準策定が遅れている背景には、規制により影響を受ける化学業界からの圧力があると指摘。「裁判所命令によって欧州委に科学的基準を提出させ、有害物質ゼロ社会に向け前進することができるようにするため、提訴することを決定した」と語った。

欧州委のポトチュニック委員(環境担当)のヘノン報道官は、スウェーデン政府の懸念については認識しているとしたうえで、基準策定作業が遅れている理由として「問題の複雑さ、科学の発展、科学者や利害関係者の間の見解の相違」を挙げ、「我々はこの問題を深刻に捉えており、全力で取り組んでいる」とコメントした。