たばこ販売の新規制が施行、11カ国で国内法整備に遅れ

香り付きたばこの販売禁止や電子たばこに対する規制などを柱とする「たばこ製品の製造・広告・販売に関する改正指令」が20日、施行された。EU加盟国は2年前に制定された指令に沿って、同日までに国内法を整備することを義務付けられていたが、欧州委員会によると現時点で法制化が完了した国は28カ国中、11カ国にとどまっている。欧州委は対応が遅れている加盟国に対し、2カ月以内に改善策を講じるよう求めている。

EUでは若者の喫煙防止を最大の目的として、2001年に制定されたたばこ製品指令の抜本的な見直しを行い、2014年に新指令が成立した。それによると、メンソール、バニラ、フルーツなどの香りをつけたり、依存性や毒性を高める添加物を使用したたばこ製品の販売が禁止される。これは喫煙者の約7割が18未満で喫煙を開始している実態を踏まえ、たばこ本来の味や香りを残すことで若者の喫煙を抑制するのが狙いだ。香り付きたばこは20年1月1日から域内での販売が禁止される。

一方、旧指令はたばこ会社に対し、パッケージの表側30%、裏側40%に「喫煙は死を招く」といった警告の表示を義務付けていたのに対し、新ルールでは健康被害に関する警告表示がパッケージの両面でそれぞれ65%を占めるようにしなければならない。

また、新たに電子たばこに対する規制が導入された。電子たばこは治療または予防の効能をうたう場合を除いて通常のたばこ製品として扱い、薬局以外での販売が認められる。ただし、ニコチン含有量は1ミリリットル当たり20ミリグラム以下、使い捨てカートリッジの容量は2ミリリットル以下に制限される。

新指令をめぐっては、規制強化に反対する大手たばこメーカーが差別的措置だとしてEUを提訴。さらに、メンソール製品が広く普及しているポーランドも香り付きたばこの禁止撤回を求めて提訴していた。しかし、EU司法裁判所は今月5日、EUの規制強化策は喫煙対策として「妥当かつ必要な措置」として訴えを退け、新指令の施行が確定した。

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