ABインベブのSABミラー買収、条件付き承認へ

ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ、本社ベルギー)が同業の英SABミラーを買収する計画をめぐり、ABインベブがSABミラーの欧州事業を売却することを条件に、欧州委が計画を認可する方針を固めたもようだ。複数の欧米メディアが20日、事情に詳しい関係者の話として報じた。欧州委は今月24日までに買収を認めるか、第2段階の調査に入るか判断することになっているが、ABインベブはすでにSABミラーの大規模な事業売却に合意しており、市場では欧州委が最長4カ月にわたる本格調査を実施する理由はなくなったとの見方が広がっている。

ABインベブは昨年11月、業界2位のSABミラーを710億ポンドで買収することで合意した。計画が実現するとABインベブは世界のビール市場で約3分の1のシェアを握ることになる。ABインベブは競争上の問題を解消して関係国・地域の監督当局から買収の認可を得るため、4月末にSABミラーが欧州で展開する「ペローニ」(イタリア)、「グロルシュ」(オランダ)、「ミーンタイム」(英国)をアサヒグループホールディングスに売却することを正式に決定。さらにSABミラーの東欧事業(チェコ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアの5カ国が対象)を売却する方針を打ち出した。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、欧州委はABインベブに対し、6カ月以内にアサヒへの事業売却を実行するよう求めているもよう。一方、現時点で東欧事業の売却先は決まっていないが、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)をはじめとする複数の投資会社が関心を示しており、資産の評価額は50億ドル規模に上るとの情報がある。

一連の報道に対して欧州委、ABインベブともコメントを拒否している。

上部へスクロール