欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/26

ロシア・CIS・その他

ロシア、天然ガス供給で中国と合意

この記事の要約

ガスプロムは21日、中国石油天然ガス集団(CNPC)と天然ガスの長期供給契約に調印した。ロシアは中国に対して、30年間にわたり天然ガス380億立方メートルを供給する。これはドイツへの輸出量に匹敵する。契約額は4,000億 […]

ガスプロムは21日、中国石油天然ガス集団(CNPC)と天然ガスの長期供給契約に調印した。ロシアは中国に対して、30年間にわたり天然ガス380億立方メートルを供給する。これはドイツへの輸出量に匹敵する。契約額は4,000億米ドルを超えるもようだ。また、ガスの輸送に向け両国を結ぶ「東ルート」パイプラインを新設するとしている。

ウクライナ情勢をめぐって欧米との関係が悪化するロシアにとって、世界一のガス需要国といわれる中国との取引拡大は政治的にも重要な意味を持っている。

プーチン大統領は20、21日の訪中を機に、10年以上前から交渉の続くガス供給契約の締結を狙っていた。しかし、今回も価格面や輸送ルートとなる新パイプラインの敷設をめぐってせめぎ合いが続いたもようで、20日の協力協定からは除外されていた。

帰国前に契約が成立したことで、訪中の具体的な成果が上がった形だ。

ロシアはシベリア東部に未開発の鉱区を持ち、欧州と並行して中国へ天然ガスを輸出する余力がある。しかし、欧米諸国が制裁を強化する中で、メドベージェフ首相が供給のあり方を見直すことも「理論的に可能」と発言するなど、ガスを欧州への圧力を高める手段として認識しているのは明確だ。

ロシアは天然ガス以外でも中国との提携強化を目指している。20日には航空、通信分野などを対象とした複数の協力協定も締結した。