ロシアが伝染病の発生を理由にEU産豚肉の輸入を禁止しているのは不当としてEUが提訴している問題で、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は19日、EU側の主張を認め、禁輸措置を協定違反とする裁定を下した。
ロシアは2014年1月、リトアニアとポーランドで野生のイノシシのアフリカ豚コレラ感染が発覚したことを理由に、EUからの豚肉の輸入を全面的に禁止した。これに関してEUは、感染が報告されていない加盟国も含めた全面禁輸は不当で、WTOのルールに反すると主張。リトアニア、ポーランド産以外の豚肉の輸入再開を求めたが、ロシア側が応じなかったため、同年4月に提訴していた。
ロシア側はEU産豚肉の一律禁輸について、衛生、健康上のリスクを考慮した正当な措置と反論している。しかし、WTOのパネルは禁輸に科学的な根拠はなく、適正な手続きを踏んでいないとして、EUの言い分を受け入れた。
これによってロシアは是正を求められるが、パネル裁定を不服とする場合は60日以内に上訴することができる。