英政府が原発新設計画を承認、対中関係を考慮

英政府は15日、英南西部のヒンクリーポイントに原子力発電所を建設する計画を正式承認したと発表した。7月に発足したメイ政権は、中国が3割を出資する同事業について、安全保障上の懸念などから承認を先送りしたが、同原発が重要な電力供給源であることや対中関係を考慮し、認可に踏み切った。ただし、中国企業が同原発の株式を追加取得することを制限するといった条件を付けた。

総事業費が180億ポンド(約210億ユーロ)に上るヒンクリーポイント原発建設プロジェクトでは、仏原子力会社アレバが開発した欧州加圧水型原子炉(EPR)2基を設置する。出力は1,650メガワットで、英国の電力需要の約7%を賄う能力を持つ。英国での原発新設は1995年以来約20年ぶり。

同事業には仏電力最大手のフランス電力公社(EDF)が3分の2の120億ポンド、中国の広核集団(CGN)などが残る60億ポンドを出資する。主導するEDFは7月、同事業への投資を最終決定した。しかし、英政府は同月に突然、承認先送りを発表していた。

メイ政権が認可に慎重だった背景には、巨額な事業費、同原発に35年間にわたって電力固定価格買い取り制度(FIT)を適用する形での公的支援の是非や、中国の関与に対する安全保障上の懸念がある。しかし、同計画を差し止めると中国政府の猛反発を招き、関係が悪化する恐れがあることから、EDFによる同原発の株式の売却を制限するという条件を付けた上で、最終承認した。また、将来のあらゆる原発建設計画に政府が介入できる余地を拡大する措置の導入も決めた。

上部へスクロール