パリ協定批准、欧州議会が承認

欧州議会は4日の本会議で、2020年以降の国際的な地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」の批准を承認した。5日には個別に国内手続きを終えたフランス、ドイツなど7カ国とともに、EUとしての批准書を国連に提出した。国連はこれを受け、同日までに協定の発効条件が満たされたことを明らかにし、11月4日に協定が発効すると発表した。同7日からモロッコのマラケシュで開催される国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)で、具体的なルール作りに向けた議論がスタートする。

パリ協定は京都議定書に続く温暖化対策の新たな枠組みで、昨年12月にパリで開かれたCOP21で採択された。先進国だけに温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書と異なり、発展途上国を含むすべての国が参加する。産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることを目標に掲げており、協定締結国は温室効果ガス削減目標を5年ごとに国連に提出し、目標達成に向けた対策を取ることが義務付けられる。

EUでこれまでに国内手続きを終えたのはフランス、ドイツ、オーストリア、ポルトガル、ハンガリー、スロバキア、マルタの7カ国。世界全体の温室効果ガスの12.1%を排出するEUとしての批准は当初、17年になるとみられていた。しかし、9月初めに2大排出国の米国と中国が同時に批准を発表し、年内発効の可能性が出てきたことで、加盟国は今後の議論でEUが主導権を維持するには年内批准が不可欠との認識で一致。9月30日に臨時環境相会議を開き、加盟国の国内手続きを待たずにEUとして一括批准する方針で合意していた。

パリ協定は55カ国以上が批准し、批准国の温室効果ガス排出量が世界全体の総排出量の55%に達すると、発効の要件を満たし、30日後に発効する。国連は5日までに締約国が合わせて74カ国となり、排出量の合計が全体の58.82%に達したと発表した。なお、これまでに国内手続きを終えたEU7カ国の排出量は合計で4.57%(ドイツ2.56%、フランス1.34%など)となっている。

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