独自動車部品大手の独ZFフリードリヒスハーフェンは5日、スウェーデン同業ハルデックスの買収を断念すると発表した。3日が期限だった株式公開買い付け(TOB)に応じた株主が9.59%にとどまり、目標としていた過半数を確保できなかったため。ハルデックスに対してはブレーキ大手の独クノールブレムゼが現在TOBを実施しているものの、ZFはすでに保有している21.67%を手元にとどめ、これに応じない考えだ。
ZFは8月上旬、ハルデックスを友好的なTOBで買収することで同社経営陣と合意した。ハルデックスをめぐっては当時、ルクセンブルクに本社を置く商用車部品大手のSAFホラントがTOBの意向を表明しており、ZFは白馬の騎士として対抗した格好だ。これを受けSAFがハルデックス買収を断念したことから、ZFのTOBは順調に進むとみられていた。
だが、クノールブレムゼがハルデックスに対するTOB方針を9月上旬に打ち出したため、ZFとクノールブレムゼの買収合戦に発展。最終的にクノールブレムゼが買い取り価格を1株当たり125クローナとしたのに対し、ZFは同120クローナにとどめた。クノールブレムゼのハルデックス買収計画には独禁当局に承認されないリスクがあるのに対し、ZFはハルデックス買収に必要な独禁当局の承認をすでにすべて獲得しTOBの支払いを速やかに実施できる状況にあったため、株主の支持を得られると判断していた。