EU加盟国は26日開いた大使級会合で、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際に発生するローミング料金について協議し、事業者が他社の回線を使用するために支払うホールセール料金に上限を設ける新たな規制案の内容で基本合意した。閣僚理事会と欧州議会の承認を得て新ルールを導入する。
EUでは2017年6月に国際ローミング料金が廃止されることになっており、EU市民は域内のどこに移動しても、自国と同じ料金水準で通話やデータ通信などのサービスを利用できるようになる。ただ、ホールセール段階の料金を据え置いたままローミング課金を撤廃した場合、事業者の収益が圧迫されるため、損失を補てんするため国内料金を引き上げたり、廃業に追い込まれるケースも予想される。このため欧州委員会は6月、国際ローミングのホールセール料金に上限を設ける規制案を打ち出し、加盟国の間で検討が進められていた。
国際ローミングのホールセール料金は現在、通話時が1分当たり平均0.05ユーロ、テキストメッセージが1件当たり0.02ユーロ、データ通信は1メガバイト当たり0.05ユーロとなっている。欧州委の提案は、来年6月から通話時のローミング料金を1分当たり最大0.04ユーロに制限するほか、テキストメッセージは1件当たり0.01ユーロ、データ通信は1メガバイト当たり0.0085ユーロ以下に抑えるよう事業者に義務付けるという内容。しかし、事業者からデータ通信時の料金規制に反対する声が上がり、加盟国の間で意見調整が続いていた。
大使級会合では、議長国スロバキアがデータ通信にかかるローミング料金の上限を段階的に引き下げる案を提示し、これが承認された。具体的には来年6月から1メガバイト当たり0.01ユーロを上限とし、21年6月以降は上限を0.005ユーロまで引き下げるという内容だ。