欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2016/11/7

EU情報

ユーロ圏GDP、7~9月も0.3%増

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが10月31日発表したユーロ圏の2016年7~9月期の域内総生産(GDP、速報値)の前期と比べた実質伸び率は0.3%となり、前期と同水準だった。英国のEU離脱決定の影響が懸念されたが、14四半期連 […]

EU統計局ユーロスタットが10月31日発表したユーロ圏の2016年7~9月期の域内総生産(GDP、速報値)の前期と比べた実質伸び率は0.3%となり、前期と同水準だった。英国のEU離脱決定の影響が懸念されたが、14四半期連続のプラス成長を維持した。ただ、景気回復のペースは依然として鈍く、インフレ率も低水準で推移していることから、欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和を延長するとの見方が一段と強まっている。

前年同期比の伸び率も前期と同じ1.6%。EU28カ国ベースの成長率は前期比0.4%、前年同期比1.8%だった。

ユーロスタットは国別のGDPを公表していないが、これまでに各国当局が個別に発表した統計によると、フランスは前期比0.2%増となり、前期の0.1%減から改善。スペインは同0.7%増と、伸び率は前期の0.8%を下回ったものの、堅調を維持した。一方、ベルギーの伸び率は前期の0.5%から0.2%に縮小した。

 

インフレ率、0.5%に上昇

 

ユーロスタットが同日発表した10月のユーロ圏のインフレ率(速報値)は前年同月比0.5%で、前月の0.4%を上回り、14年6月以来の高水準となった。石油輸出国機構(OPEC)が減産を決めたことで、エネルギー価格の下げ幅が前月の3%から0.9%に縮小したことが大きかった。

ただ、工業製品は0.3%、サービスは1.1%となり、前月と同水準。価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は0.8%と、3カ月連続で横ばいだった。

ECBのドラギ総裁は10月20日に開いた定例政策理事会後の記者会見で、ユーロ圏の国債などを買い取る量的金融緩和について、期限となっている2017年3月以降も継続するかどうかを12月の理事会で判断する方針を打ち出した。

ユーロ圏の景気回復が緩やかなペースにとどまり、インフレ率もECBが目標とする2%前後を大きく下回っていることから、エコノミストらの間では延長に踏み切るとの見方が有力だ。