巨額の不良債権を抱えて経営難に陥っている伊大手銀行のバンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(BMPS)は25日、向こう3年間の経営再建計画を発表した。人員削減と支店の閉鎖を柱とする内容。経営改善の具体策を示すことで投資家と債権者の信頼を回復し、計画している増資と不良債権処理を迅速に進める狙いがある。
同計画によると、BMPSは3年間で全従業員の約1割に相当する2,600人を削減し、人件費を9%圧縮する。支店も約4分の1に当たる500支店を閉鎖する。このほか決済処理部門を売却する計画だ。
BMPSは国内3位の銀行。300億ユーロ近くに上る不良債権が経営を圧迫しており、欧州銀行監督機構(EBA)がEUの主要銀行を対象に実施した2016年のストレステスト(健全性審査)で、事実上の不合格と判定された。これを受けて同行は7月、50億ユーロの増資と、不良債権を証券化して売却を進める方針を打ち出し、9月に就任したマルコ・モレリ新最高経営責任者(CEO)の主導で実施することになっている。
2016年7~9月期の最終損益は、不良債権の引当金が響き、11億5,000万ユーロの赤字となった。BMPSは今回の合理化によって、19年に11億ユーロを超える黒字を計上することを目指す。
増資と不良債権処理は11月下旬に開く株主総会での承認を経て、年内に完了させる計画。モレリCEOは記者会見で、債権者が持つ50億ユーロの債券の証券化を増資に先立って実施することを確認した。これによって増資額を予定していた50億ユーロを下回る水準にとどめる方針だ。