独エネルギー大手エーオンと仏石油大手トタルが、アゼルバイジャン産の天然ガスをアドリア海経由で南イタリアにパイプラインで輸送するTAPプロジェクトから撤退するもようだ。同プロジェクトに参加するアゼルバイジャン国営石油会社SOCARが3日明らかにした。
エーオンは債務圧縮に取り組んでおり、その一環でパイプライン事業の見直しも進めている。同社の広報担当者はロイター通信に、「そうした見直し作業は個々の事業の分離につながる可能性がある」と述べた。
TAPはアゼルバイジャン産の天然ガスをギリシャ、アルバニア経由でイタリアに運ぶ全長867キロメートルのパイプライン。輸送能力は年100億立方メートル~200億立方メートルで、2015年の着工、19年の稼働を予定している。同プロジェクトにはSOCARと英BP、ノルウェーのスタトイルの3社がそれぞれ20%、ベルギーのFluxysが16%、トタルが10%、エーオンの天然ガス子会社が9%、スイスのアクスポが5%出資している。
欧州ではウクライナ危機を受け、ロシア産天然ガスへの依存度を引き下げる戦略的な必要性が高まっている。TAPはそうしたニーズに見合ったプロジェクトだ。