欧州中銀が金融政策維持、物価上昇も「基調は弱い」

欧州中央銀行(ECB)は19日にフランクフルトで開いた定例政策理事会で、金融政策の維持を決めた。ユーロ圏では消費者物価が上昇しているものの、基調はなお弱いとして、超低金利政策と大規模な量的金融緩和の継続が必要と判断した。

ECBは12月の理事会で、ユーロ圏の国債などを買い取る量的緩和について、毎月の買い取り額を4月から200億ユーロ縮小し、600億ユーロとする一方で、同措置を9カ月延長し、2017年12月末まで継続することを決めていた。

理事会は同方針を維持することを確認。政策金利も変更せず、主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.4%に据え置くことを決めた。

ユーロ圏ではデフレ懸念がくすぶっていたが、物価はこのところ上昇傾向にある。EU統計局ユーロスタットが18日発表した12月のインフレ率(確定値)は前年同月比1.1%となり、前月から0.5ポイント拡大。3年3カ月ぶりの高水準に回復した(表参照)。それでもECBの目標値である2%を大きく割り込んでいる。価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は0.9%と低水準にとどまった。

ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、物価は上がっているものの、これは低迷していた原油価格が上昇に転じたためで、「基調的な物価上昇圧力は依然として弱い」と指摘。「基調的な上昇傾向にあると確信できる兆しはない」と述べ、現在の緩和的政策の維持が必要と強調した。

ECBの緩和策をめぐっては、物価上昇が進み、12月のインフレ率が1.7%となっているドイツで批判的な動きが強まっている。しかし、ドラギ総裁は「ユーロ圏全体の回復が、ドイツを含む全員にとって有益だ」と述べ、緩和の縮小は時期尚早と指摘。今回の理事会で、緩和を段階的に縮小する「テーパリング」が議題とならなかったことを明らかにした。さらに、状況に応じて量的緩和の期間、規模を拡大する用意があることも言明した。

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