欧州議会の新議長にタヤーニ氏、大連立による「輪番制」に終止符

欧州議会は17日の本会議で、イタリア出身のアントニオ・タヤーニ氏(63)を新議長に選出した。タヤーニ氏は任期満了に伴い同日付で退任したマルティン・シュルツ前議長の後任で、任期は2019年に実施される欧州議会選挙までの約2年半。域内で反EU感情が高まるなか、英国のEU離脱交渉という歴史的な転換局面を控え、欧州議会の影響力を維持できるか手腕が問われる。

議長選挙は最大会派で中道右派の欧州人民民主党(EPP)所属のタヤーニ氏と、第2会派で中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)が指名したジャンニ・ピッテッラ氏(58)による決選投票となった。EPPとS&Dはこれまで大連立を組み、任期2年半の議長職を交代で選出してきたが、今回はそれぞれ候補を擁立。当初は第4会派で中道リベラルの欧州自由民主連盟グループ(ALDE)代表ヒー・フェルホフスタット氏(元ベルギー首相)も立候補を予定していたが、選挙直前に出馬を見送り、ALDEはEPPとの連携に合意。タヤーニ氏が4回目の投票で351票を獲得し、282票のピッテッラ氏を抑えて新議長に選出された(定数751、有効投票数633、棄権80、総投票数713)。

タヤーニ氏はジャーナリスト出身で、ベルルスコーニ伊元首相の報道官や欧州委員会の副委員長などを歴任した。一方、退任したシュルツ氏はドイツ政界に復帰し、今秋の連邦議会(下院)選挙に社会民主党(SPD)から出馬する。

欧州理事会のトゥスク常任議長(大統領)と欧州委員会のユンケル委員長に続き、新たにタヤーニ氏が欧州議会議長に選出されたことで、EU3機関のトップがすべてEPP所属の政治家となる。EPPは英国との離脱交渉に強気の姿勢で臨む方針を示しており、3機関が連携して結束した強いEUを目指すものとみられる。

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