欧州委がアマゾンの改善策受け入れ

欧州委員会は4日、米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムの電子書籍販売事業をめぐり、EU競争法違反の疑いで調査を進めていた問題で、同社が提示した改善策を受け入れたと発表した。これにより、アマゾンに対する調査は打ち切られるが、同社は今後5年間にわたり、法的拘束力のある確約として改善策を実行しなければならず、違反した場合は世界全体の年間売上高の最大10%に上る制裁金を科せられる可能性がある。

アマゾンは欧州の電子書籍市場で最大シェアを誇る。欧州委は同社が市場支配的地位を乱用し、出版社との契約に競争制限的な条項を盛り込んだ可能性があるとして、2015年6月に本格調査を開始した。問題となっていたのは◇他の電子書籍販売会社がアマゾンより有利な条件を提示した場合はアマゾンに報告する◇アマゾンに競合相手と同等以上の条件を適用する――などを出版社に求める条項。欧州委はこれまでの調査から、アマゾンが出版社と結んだこうした契約がライバル会社の革新的な製品やサービスを妨げ、消費者の選択肢を狭めているとの疑いを強めていた。

アマゾンは1月、巨額の制裁金を回避するため、出版社と結んでいる契約から欧州委が問題視している条項を排除することを確約。また、アマゾンと競合するプラットフォームで電子書籍を販売する際、小売価格の値引きを強要する内容の条項を含んだ契約を出版社が破棄できるようにすることも改善策に盛り込んだ。

欧州委はこれを受け、アマゾンが提示した改善策について意見募集を実施。約1カ月にわたる市場テストの結果、出版社との契約から競争制限的な条項を排除することで電子書籍市場における競争を確保できると判断した。

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