英国の移民純増数が過去3年で最低に

英政府統計局(ONS)は24日、今年3月までの1年間に英国に入国した移民の純増数は24万6,000人と前年同期を8万1,000人下回り、過去3年で最低水準になったと発表した。英国が国民投票でEU離脱を決定した昨年6月以降、EU域内から英国への移民が減少しており、3月までの1年間は特にポーランドやハンガリーなど東欧8カ国からの流入数が大幅に落ち込んだ。

英国への流入者のうち、EU加盟国からの純増数は前年同期比5万1,000人減の12万7,000人で、2013年12月以来の低水準となった。英国がEU離脱を決める直前までの1年間は、移民の純増数が過去最高の33万6,000人を記録していた。

経済界は英国に流入する移民の急速な減少が賃金上昇などの弊害を招くと警戒している。企業経営者が加盟する英国取締役協会(IoD)の雇用・技能政策担当責任者シェーマス・ニーブン氏は今回の統計について「歓迎できる数字ではない。現在の低失業率(4.5%)を考えると、EU加盟国から300万人の純流入者がなければ深刻な労働力不足に陥る可能性がある。生活や労働する場として英国の魅力が失われつつあるのは問題だ」と述べた。

一方、移民抑制を主張する団体「マイグレーション・ウォッチUK」の代表アンドリュー・グリーン氏は「前向きな兆候だが依然として移民が多すぎる。年間25万人という容認しがたい数の移民が流入している現実を埋もれさせてはならない」とコメントしている。

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