欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/30

EUその他

7月から携帯ローミングの上限引き下げ、データ通信は現在の半分以下に

この記事の要約

携帯端末をEU域内の他の国で利用する際にかかるローミング料金が、7月1日付で再度引き下げられる。2012年5月に採択された料金規制に基づく措置で、音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信にかかる料金がそ […]

携帯端末をEU域内の他の国で利用する際にかかるローミング料金が、7月1日付で再度引き下げられる。2012年5月に採択された料金規制に基づく措置で、音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信にかかる料金がそれぞれ3年連続で引き下げられる。特に下げ幅が大きいのはデータ通信で、ローミング料金の上限は現在の半分以下、4年前との比較では25分の1に抑えられる。

EUでは2007年6月に「携帯電話のローミングに関する規則」が制定され、域内の他の国で音声通話、SMS、データ通信を利用する際のローミング料金が段階的に引き下げられている。EUでは現在、通信分野における単一市場の創設を目的とした通信規制改革案に関する審議が最終段階に入っており、法案が成立すると、携帯電話事業者は15年12月15日までに国際ローミングにかかる上乗せ料金を廃止することが義務付けられる。

7月から適用される新たな料金体系(付加価値税を除く)によると、データ通信(リテール料金)は1メガバイト当たり現在の0.45ユーロから0.2ユーロに上限が引き下げられる。また、音声通話は発信時で現在の1分当たり0.24ユーロから0.19ユーロ、着信時で0.07ユーロから0.05ユーロ、SMSは1件あたり0.08ユーロから0.06ユーロにそれぞれ上限が引き下げられる。

新たな料金体系の実施により、EU域内での国際ローミングにかかる上乗せ料金は、初めて料金規制が導入された07年に比べて80~90%引き下げられることになる。欧州委員会のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は「とりわけデータ通信にかかるローミング料金の大幅な値下げはすべてのEU市民にとって朗報だが、ここがゴールではない。年内にローミング料金の廃止で最終合意できることを望んでいる。欧州議会はすでに法案を承認しており、あとは加盟国の決断にかかっている」とコメントしている。