欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/30

東欧・ロシア・その他

サウス・ストリーム、墺に支線建設

この記事の要約

ロシアの政府系天然ガス企業ガスプロムとオーストリアのエネルギー大手OMVは24日、ロシア産天然ガスを黒海経由で欧州に輸送するパイプライン「サウス・ストリーム」の支線をオーストリア国内に建設するための合弁会社を設立する合意 […]

ロシアの政府系天然ガス企業ガスプロムとオーストリアのエネルギー大手OMVは24日、ロシア産天然ガスを黒海経由で欧州に輸送するパイプライン「サウス・ストリーム」の支線をオーストリア国内に建設するための合弁会社を設立する合意書に署名した。

サウス・ストリームはロシア南西部からウクライナを迂回して黒海海底を通り、西欧諸国に至るガスパイプラインで、輸送能力は年間630億立方メートル。合意によると、サウス・ストリームは、2017年からブルガリア、セルビアおよびハンガリーを経由して、オーストリアのバウムガルテンまで年間最大320億立方メートルの天然ガスを輸送する。支線の長さは約50キロメートルで、建設費用は数十億ユーロにのぼる見通しだ。

サウス・ストリームの建設計画をめぐっては、パイプラインへの第三者アクセスが保証されていないことや、ガスの供給元であるガスプロムがパイプラインの運営にあたる点などが欧州連合(EU)の競争法に抵触するとして、欧州委員会が計画の凍結を要請。パイプライン通過国のひとつであるブルガリアでは建設工事が中断している。しかし、OMVのロイス社長は、サウス・ストリームの建設は欧州のガス供給の安定性を高め、EU法にも違反しないと強調。「欧州はロシアのガスを必要としており、ガス自給率が低下するにつれ、より多くのロシア産ガスが必要となる」と述べた。