欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/7

総合 – 欧州経済ニュース

EUがブルガリアに緊急金融支援、取り付け騒ぎ対応で

この記事の要約

欧州委員会は6月30日、EUによるブルガリアへの33億レフ(17億ユーロ)の緊急融資枠拡大を承認したと発表した。ブルガリア政府からの融資枠拡大要請を受けたもので、取り付け騒ぎが起こった大手銀行2行に十分な流動資金を供給す […]

欧州委員会は6月30日、EUによるブルガリアへの33億レフ(17億ユーロ)の緊急融資枠拡大を承認したと発表した。ブルガリア政府からの融資枠拡大要請を受けたもので、取り付け騒ぎが起こった大手銀行2行に十分な流動資金を供給する目的。欧州委員会は同国の銀行システム維持に必要かつ「適当」な措置と説明している。同時にブルガリアの金融機関は他のEU加盟国と比べても十分な資金を有し、実際に危機的状況にあるわけではないと指摘した。

ブルガリアでは同月20日のコーポレート・コマーシャル・バンク(KTB)に続き、26日には国内3位のファースト・インベストメント・バンク(FIバンク)に顧客が殺到し、わずか数時間で4億ユーロ相当の預金が引き出された。

きっかけとなったのは、インターネットや携帯電話のショートメッセージを通じて流された誤情報だ。ブルガリア保安当局は「金融システムを故意に攻撃した」として捜査を開始し、これまでに被疑者5人を逮捕している。

ブルガリアの金融システムは健全でも、取り付け騒ぎが政情不安をあおるリスクはある。オレシャルスキ中道左派少数政権は人事問題を機に、昨年5月の成立直後から国民による批判の的となっている。汚職への不満と経済不振による貧困も相まって、反政府運動は1年経った現在でもおさまっていない。

5月の欧州議会選で連立与党が敗北したことや、天然ガスパイプライン「サウスストリーム」敷設計画に関するEUの態度硬化で状況はますます先鋭化した。このため、主な与野党は27日、政局の安定化に向け、前倒し選挙の10月5日実施で合意した。同時に、新内閣成立まで、金融システムの維持で協力することでも一致した。議会は近く解散し、8月6日に暫定内閣が任命される見通しだ。