欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/7

総合 – 欧州経済ニュース

欧州中銀、金利据え置き

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は3日に開いた定例理事会で、ユーロ圏18カ国の主要政策金利を過去最低の年0.15%に据え置くことを決めた。民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)もマイナス0.1%で維持す […]

欧州中央銀行(ECB)は3日に開いた定例理事会で、ユーロ圏18カ国の主要政策金利を過去最低の年0.15%に据え置くことを決めた。民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)もマイナス0.1%で維持する。6月に実施した包括的な金融緩和策の効果を見極めた上で、低インフレが続く場合はさらなる量的緩和に踏み切る方針を示している。

ECBは先月の理事会で、政策金利を引き下げるとともに、銀行の貸し渋りを解消するため、中銀預金金利をマイナスにし、一定の水準を超える預金に手数料を課す「マイナス金利」を導入した。さらに金融機関が融資を増やすことを条件に、長期資金を追加供給する流動性供給措置も金融緩和策に盛り込んだ。

ドラギ総裁は理事会後の記者会見で「今後数カ月間のオペで金融緩和が進み、銀行融資を下支えするはずだ」と指摘。一連の緩和策が効果を発揮するようになれば、「インフレ率もECBが目安とする2%弱の水準に近づく」との見方を示した。ただ、ユーロ圏の6月の消費者物価上昇率は5月と同じ0.5%で、9カ月連続で1%を割り込んでいる。総裁は「低インフレの状態が長引いてさらなる対応が必要な場合、理事会は権限の及ぶ範囲で非伝統的な手段を用いる方針で一致している」と強調。状況に応じて資産購入などの追加措置を講じる用意があると述べた。

一方、ECBの資金を民間部門に誘導することを狙った長期資金供給オペ(LTRO)に関しては、まず9月と12月に実施し、その後16年6月までに6回実施する計画を明らかにした。実際の貸し出しが当初の計画を下回った銀行は、原則としてECBが供給した資金を全額返済しなければならない。

このほか理事会では、2015年1月以降、定例理事会の回数を現在の月1回から6週間に1回に減らすことを決めた。会議の間隔を空けることで、理事会の動向に対する思惑から市場で不要な混乱が広がる事態を防ぐ狙いがある。一方、現在は非公開となっている理事会での議論の内容を議事録のかたちで公表する方針も明らかにした。