欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/7

東欧・ロシア・その他

ABインベブ、チェコの地ビールメーカー買収

この記事の要約

ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)は2日、チェコの地ビールメーカー・サムソンの株式100%をキプロスの投資会社トーラス・ワンから譲り受け、完全子会社化したことを明らかにした。取引価格は非公表。 […]

ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)は2日、チェコの地ビールメーカー・サムソンの株式100%をキプロスの投資会社トーラス・ワンから譲り受け、完全子会社化したことを明らかにした。取引価格は非公表。

サムソンはチェコ南部チェスケー・ブジェヨヴィツェにあるビール醸造所。「サムソン」ブランドのほか、「1795」、ノンアルコールビール「ピト」を製造している。生産量は明らかにしていないが、メディア報道によると約1万2,000キロリットルに上る。

サムソン買収の背景にあるのは、ABインベブとチェコ国営のビール会社ブジェヨビィツキー・ブドバルとの間で1世紀以上にわたって繰り広げられているビールブランド「バドワイザー(Budweiser)」の商標権をめぐる争いだ。ABインベブは11年、同じくチェスケー・ブジェヨヴィツェにあるブジェヨヴィツェ市民醸造会社から「ブドヴァイゼル」の商標権を取得している。今回、商標名ゆかりの地のビールメーカーを傘下に収めたことで本家争いを有利に運びたい考えだ。

これに対しジェヨビィツキー・ブドバルの関係者は、「サムソンはブジェヨヴィツェ市民醸造会社と何の関係もなく、ブドヴァイゼルという語を含む商品も一切、作っていない。サムソンを傘下に収めたことで、商標権争いで有利になることも、当社の事業に影響を与えることもない」として、静観の構えを示している。