欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/14

EU産業・貿易

域内銀行の健全性評価、統一基準導入へ=EBA

この記事の要約

欧州銀行監督機構(EBA)は8日、EU域内の銀行の健全性評価の基準を統一する方針を打ち出した。各国の銀行監督当局で基準にばらつきがあり、投資家が域内銀行の健全性を比較しづらい状況にあることを問題視したもの。10月7日まで […]

欧州銀行監督機構(EBA)は8日、EU域内の銀行の健全性評価の基準を統一する方針を打ち出した。各国の銀行監督当局で基準にばらつきがあり、投資家が域内銀行の健全性を比較しづらい状況にあることを問題視したもの。10月7日まで諮問作業を行い、寄せられた意見に基づく調整を行った上で最終案を固め、2016年1月から導入する。

EBAが提示したガイドライン案では、◇ビジネスモデル◇内部統治◇自己資本のリスクと充実度◇流動性のリスクと充実度――の4項目を主な対象に、共通の基準を用いて審査を行い、健全性を1、2、3、4の4段階で評価する。4に近いほど大きなリスクを抱えていると判定されることになる。

自己資本のリスクと充実度では、IT(情報技術)システムの障害、法令違反による罰金支払いが生じた際の余力なども審査対象に含まれる。ビジネスモデルでは、賃金体系の持続可能性、少なくとも向こう3年間にわたって適正利益を生むことができる状態にあるかといった点が査定ポイントとなる。

EUでは今年1月から、ユーロ圏18カ国とEU8カ国の計26カ国の銀行監督が欧州中央銀行(ECB)に一元化され、監督体制のばらつきという問題は大きく改善される。しかし、日常の監督業務は引き続き各国当局が受け持つ。また、英国、スウェーデンは同制度に参加せず、独自の監督を続ける。このため、EBAは健全性評価で共通の物差しを設け、域内の全銀行の健全度を俯瞰的に評価できるようにする体制を整える。