電機大手の独シーメンスは9日、中国ネット販売最大手アリババのクラウドサービス子会社アリババクラウドと産業用モノのインターネット(IIoT)分野で提携する覚書を交わした。同社のIIoTプラットホーム「マインドスフィア」を中国市場に投入する。ベルリンで開催された調印式にはドイツのアンゲラ・メルケル首相と中国の李克強首相が立ち会った。
マインドスフィアはシーメンスが開発・運用するクラウドベースの産業用IoTプラットホーム(OS)。IoTプラットホーム市場で勝ち組として生き残るためには多くの企業を囲い込むことが必要なことから、同社は1月、ユーザー団体「マインドスフィア・ワールド」をパートナー企業と共同で設立した。マインドスフィアを中心とするエコシステムを世界的に拡大する考えだ。
世界の工場である中国にマインドスフィアのネットワークを構築することは経営戦略上、極めて重要なことから、同国最大のパブリッククラウド事業者であるアリババクラウドと提携することを決めた。アリババクラウドのインフラで同IIoTプラットホームを来年から利用できるようにする。
アリババクラウドはシーメンスが持つ産業分野のノウハウを吸収するとともに、マインドスフィアでつながる大手企業へのアクセスを確保。また、データを用いた新たな事業モデルを開発する。アリババクラウドの胡暁明社長は「産業用IoT分野でわが社の能力は現在、シーメンスに比べて低い。わが社の開発要員は今後、より多くの可能性を持つようになる」と述べた。