米国産大豆の輸入が7月は3.8倍に、欧州委が米との合意実現をアピール

欧州委員会は1日、7月のEU市場への米国産大豆の輸入量が前年同月の3.8倍に拡大したと発表した。欧州委員会のユンケル委員長は7月末にトランプ米大統領と会談した際、貿易戦争を回避するため米国産大豆の輸入拡大で合意しており、米側に成果をアピールした形。欧州委は首脳会議の合意に基づいて立ち上げた高官級の作業部会に対し、今後2カ月ごとに大豆の輸入状況を報告する。

欧州委によると、米国産大豆の輸入量は昨年7月の9万3,850トンから、今年7月は3.8倍超の35万9,305トンに急増。全輸入量に占める米国産の比率も9%から37%に拡大した。また、家畜の飼料原料となる大豆かすの輸入量も前年同月比34.4倍の約18万5,000トンとなり、米国産が占める割合も0.3%から13.4%に拡大した。

ただ、米国産大豆の輸入が急拡大したのは米中の貿易摩擦による影響が大きい。EUにとって最大の輸入元はブラジルだが、中国が米国産大豆に報復関税をかけた結果、米国産がだぶつく一方、ブラジル産の需要が急増して価格が高騰。このため欧州の輸入業者の間では、割安になった米国産に切り替える動きが広がった。

EU・米首脳会議では自動車を除く工業製品の関税撤廃のほか、米国産の液化天然ガス(LNG)や大豆の輸入拡大に向けて交渉を開始することで合意。トランプ氏は米国による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対抗措置として、EUが報復関税を発動したことを受け、欧州車に20%の関税をかけて再報復する構えをみせていたが、合意を受けて交渉中は自動車の追加関税を発動しない方針を示唆した。ひとまず米・EU間の貿易戦争は回避された格好だが、今後の交渉次第では米国が自動車の輸入制限に踏み切る可能性もある。EUとしては早い段階で大豆の輸入拡大という成果を示すことで、合意内容を尊重することが双方の利益につながると訴えたものとみられる。