欧州委員会は20日、工業ガス大手の独リンデと米プラクスエアが合併する計画を条件付きで承認したと発表した。両社は競争上の是正策として決めた事業売却の実施を求められる。
工業ガスでリンデは世界2位、プラクスエアは同3位。両社は2017年6月、合併で合意していた。誕生する新会社は仏エア・リキードを抜いて世界最大手に躍り出る。
欧州委は初期調査の結果、世界で工業ガスを量産できる企業はリンデ、プラクスエアを含めて4社にとどまっており、これが両社の合併で3社体制になると寡占が強まって製品値上がりの可能性があるほか、顧客企業の調達の選択肢が狭まると判断。本格的な調査を進めていた。
両社は承認を取り付けるため、◇プラクスエアのドイツ、スペイン、ポルトガル、イタリア、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ベルギーの工業ガス事業と英国、アイルランド、オランダ、フランスの炭酸ガス、ヘリウム関連事業を大陽日酸に売却する◇リンデの北米事業の大半と南米事業の一部を独メッサーと投資会社CVCキャピタル・パートナーズに売却する――といった競争上の是正措置を決定していた。欧州委は同措置によって競争上の懸念が払しょくされるとして、その実行を条件に合併を承認した。
同合併は米国当局の認可を得る必要がある。米当局はEUより厳しい条件を突きつけており、両社はさらなる事業売却を迫られる可能性がある。