アストン・マーチンがロンドン証取に上場へ、時価総額50億ポンド規模に

英高級車メーカーのアストン・マーチンは8月29日、ロンドン証券取引所に株式を上場する計画を明らかにした。主要株主であるイタリアとクウェートの投資ファンドが年内に少なくとも25%の株式を売り出す計画で、欧米メディアは同社の時価総額が50億ポンドに達するとの見方を示している。上場計画の詳細は9月20日をめどに発表する。

アストン・マーチンはスパイ映画「007」シリーズの「ボンド・カー」で知られる。創業105年の同社は何度も経営危機に直面し、1987年に米フォード・モーターの傘下に入った。2000年代中盤には米同時多発テロ後の原油高騰などを受けて急速にフォードの経営が悪化し、同社は07年、クウェートの投資ファンドなどに保有するアストン・マーチンの全株式を売却。その後、伊投資会社インベスティンダストリアルが筆頭株主となった。2014年以降はアンディ・パーマー最高経営責任者(CEO)が主導する経営再建の成果が徐々にあらわれ、17年12月通期は売上高が過去最高を記録し、最終損益も8年ぶりに黒字となった。

アストン・マーチンはパーマーCEOの下で新モデルの開発やモデル改良のための投資を拡大しており、18年の販売台数は昨年を約1,000台上回る6,200~6,400台を見込む。19年には金融危機前の07年以来となる7,000台の大台に乗せ、20年には1万台を目指すとしている。

同社が併せて発表した18年1~6月期決算は、売上高が前年同月比8%増の4億4,500万ポンド、税引き前利益は4,200万ポンドだった。

パーマー氏は「アストン・マーチンの歴史で株式上場は重要な節目になる。当社の業績は好調で、高い品質を誇るスポーツカーは世界的に需要が拡大している」と強調した。一方、英国のEU離脱に関しては「高級車メーカーのメリットは、こうした変化の影響をさほど受けないことだ」と指摘。そのうえで、離脱交渉が不調に終わり、通商協定などがまとまらないまま来年3月の離脱期限を迎えた場合、大陸欧州から輸入している部品の調達が滞る可能性があるため、こうした事態に備えて在庫を積み増していると述べた。

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