飲料大手の米コカ・コーラは8月31日、英コーヒーチェーン大手コスタを39億ポンド(約5,600億円)で買収すると発表した。英国以外に中国や中東・アフリカなど30カ国以上で事業展開するコスタを通じて成長分野のコーヒー市場に本格参入し、業界大手の米スターバックスやスイスのネスレに攻勢をかける。
コスタの親会社でホテルチェーンの「プレミアイン」などを経営する英ウィットブレッドは4月、2020年までにコスタを分離・独立させる方針を発表した。ウィットブレッドによると、コカ・コーラから最初に取引の打診を受けたのは6月だったという。ウィットブレッドの取締役会は既にコカ・コーラの買収提案を承認済み。株主総会や競争当局の承認を経て、2019年前半の手続き完了が見込まれる。
コスタは1971年創業。ウィットブレッドは95年に創業者から1,900万ポンドでコスタを買収し、英最大のコーヒーチェーンに育てた。現在は国内で2,400超の店舗を展開するほか、中国でも450店舗を運営。店舗数は世界全体で4,000以上に上る。さらに同社は「コスタ・エクスプレス」と呼ばれる自販機型コーヒーマシンや家庭向けコーヒー製品も展開している。
コカ・コーラはコスタの買収を機に、スターバックスやネスレなどの世界的なコーヒーブランドと直接競合することになる。コカ・コーラのクインシー最高経営責任者(CEO)は「温かい飲料は当社が世界的なブランドを確立していない分野の1つだった」と説明。幅広い店舗網を持つコスタを取り込むことで、コーヒー市場で強固な基盤を確保できると強調した。