欧州委員会は3日、EUと米国の肥育ホルモン剤を使用した米国産牛肉の輸入制限をめぐる通商紛争の解決に向けた交渉を開始する方針を打ち出した。激化しているEUと米の貿易摩擦の緩和が狙い。EU加盟国の承認を経て交渉を行い、米国産ホルモン牛肉の輸入を拡大する。
世界貿易機関(WTO)は1998年2月、発がん性などを理由とするEUの輸入禁止に科学的な根拠はないとする米側の主張を認める裁定を下した。これを受けてEUは2009年、年間4万5,000トンの輸入枠をホルモン牛肉に割り当てることを決めた。しかし、この枠は米国産に限定したものではなく、豪州やアルゼンチン、ウルグアイ産なども含まれており、米国産の輸出が伸びないことから、米政府が不満を示していた。
欧州委は米国との交渉で、輸入枠全体は見直さないものの、その一部を米国に限定することで、米国産ホルモン牛肉の輸入を拡大することを提案する方針だ。
欧州委のユンケル委員長と米国のトランプ大統領は7月の首脳会談で、貿易摩擦の緩和に向けた交渉を開始することで合意。その対象にホルモン牛肉問題は含まれていないが、EU側は米国との関係を改善するため、解決に乗り出すことを決めた。