欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/21

EUその他

30年までのエネルギー効率化目標、欧州委が「20%台」に下方修正か

この記事の要約

欧州委員会は地球温暖化対策の一環として、近く2030年を達成期限とするエネルギー効率の数値目標を打ち出す見通しだが、当初想定していた30%より低い水準に抑えられる可能性が出てきた。ロイター通信が16日、独自に入手した欧州 […]

欧州委員会は地球温暖化対策の一環として、近く2030年を達成期限とするエネルギー効率の数値目標を打ち出す見通しだが、当初想定していた30%より低い水準に抑えられる可能性が出てきた。ロイター通信が16日、独自に入手した欧州委の内部資料を基に報じた。欧州委はコメントを控えている。

EUはエネルギー効率の改善を通じて20年までに域内におけるエネルギー消費量を20%削減する目標を掲げ、加盟国に省エネ目標の設定などを義務付けている。12年には20%の効率化目標を達成するため、域内のエネルギー事業者に対して最終消費者へのエネルギー販売量の削減を義務付けることや、加盟国に対しエネルギー効率基準に基づく公共調達を義務付けることなどを柱とする新指令が導入された。

ロイターによると、欧州委は30年までの新たなエネルギー効率化目標を25%~40%に設定した場合の影響評価を実施。数値目標を1%引き上げるとガス価格と原油価格は30年までにそれぞれ0.4%、0.1%下落する一方、目標達成に要するコストは25%の場合で年間20億ユーロ、40%の場合では年間1,120億ユーロに上ると試算している。ロイターが以前に入手した資料では、欧州委は30年までの効率化目標を「30%以上」としていたが、最新の草案では追加的なコスト負担を考慮して、20%台を意味する「2Xパーセント」となっている。

欧州委は月内にも新たな数値目標を打ち出す見通しだが、11月に次期委員長に就任するユンケル前ルクセンブルク首相は、15日に欧州議会で行った演説で「拘束力のある30%のエネルギー効率化目標が最低ラインだ」と述べており、最終的に効率化目標が何パーセントに設定されるか不透明だ。