カンボジアの関税優遇停止手続きに着手、ミャンマーも停止検討

欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は5日、カンボジアのフン・セン政権が野党や報道機関への弾圧を強めていることを受け、同国からの輸入品に対する関税優遇措置の停止に向けた手続きに着手したことを明らかにした。また、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害を問題視し、同国に対しても同様の措置を検討していると説明した。

EUは貿易振興を通じて開発途上国の発展に寄与する目的で一般特恵関税(GSP)制度を導入し、武器を除く幅広い物品を対象に関税を免除または軽減している。EUが指定した受益国のうち、カンボジアとミャンマーは最も開発が遅れている後発開発途上国(LDC)に分類され、現在は武器を除くすべての物品について関税の完全停止(関税率0%)が適用されている。

マルムストローム氏はウィーンで開いたEU貿易担当相による会議後の記者会見で「EUの通商政策は人権尊重などの価値観が土台になっている。単に言葉だけでなく、価値観が著しく侵害された場合は行動しなければならない」と述べた。

同氏によると、カンボジア側にはすでに必要な手続きに入った旨を通達済みで、12カ月以内に関税優遇措置が停止される見通し。一方、ミャンマーには近く調査団を派遣し、実態を把握したうえで停止に向けた手続きを開始するか否か判断する。

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