欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/21

西欧

ポルトガル最大手銀の親会社、会社更生手続き申請

この記事の要約

ポルトガル最大手銀行バンコ・エスピリト・サント(BES)の親会社エスピリト・サント・インターナショナル(ESI)は18日、本社があるルクセンブルクに会社更生手続きの適用を申請した。同社は経営に行き詰まって短期債務の返済を […]

ポルトガル最大手銀行バンコ・エスピリト・サント(BES)の親会社エスピリト・サント・インターナショナル(ESI)は18日、本社があるルクセンブルクに会社更生手続きの適用を申請した。同社は経営に行き詰まって短期債務の返済を停止したことから傘下の企業の経営不安が広がり、BESの株価急落を招いたほか、前週に欧州金融市場を揺るがしていた。

BESなどが属するポルトガルの企業グループ「グルポ・エスピリト・サント」の親会社であるESIは10日に短期債務の返済延期が発覚。16日にはポルトガル通信最大手ポルトガル・テレコムが、BESの子会社が振り出した8億7,400万ユーロの商業手形の支払いが期限の15日を過ぎても支払われなかったことを明らかにしていた。

ESIは声明で、「かなりの債務」を返済できなくなったとして、会社更生手続きの適用を申請し、法的管理下で再建の道を探ることを明らかにした。

ESIの問題がBESに波及したのは、グルポ・エスピリト・サントのグループ構造が複雑、不透明で、BESにグループ企業絡みの多額の債権、融資があり、これらが焦げ付くと同行の経営が揺らぐ恐れがあるため。BESは先ごろ、グループ企業に対する融資、株式保有を含む債権が6月末時点で11億8,000万ユーロとなっていることを明らかにした上で、資本に21億ユーロの余力があり、損失に十分に対応できると発表したが、損失がさらに膨らむとの懸念がくすぶっている。

ポルトガル中央銀行のコスタ総裁は18日、BESは健全としながらも、一連の問題をめぐる不安を払しょくするため、同行が複数の銀行、投資銀行、ファンドと接触し、資本増強の準備に入っていることを明らかにした。スペインの報道によると、増資引き受けの候補として、同国の最大手銀行バンコ・サンタンデールなどの名前が挙がっているという。