サイバー攻撃に制裁導入へ、EU首脳会議で合意

EU加盟国は18日、ブリュッセルで2日目の首脳会議を開き、サイバー攻撃に関与した個人や企業などに対し、EUとして経済制裁を科す新たな仕組みを導入することで合意した。また、欧州議会選挙をおよそ半年後に控え、インターネット上で拡散する偽情報による選挙介入の防止策についても検討を急ぐ方針を確認した。

西側諸国はロシアによるサイバー攻撃の脅威が高まっているとして警戒を強めている。オランダ政府は今月4日、ハーグに本部を置く化学兵器禁止機関(OPCW)がロシア軍参謀本部情報部(GRU)による攻撃対象になったと発表した。英国と連携してネットワークへの不正侵入を未然に防いだという。OPCWでは今年3月に英国で発生した、ロシア軍情報部門の元職員らに対する暗殺未遂事件で使用された軍事用神経剤を分析していた。

首脳会議の総括文書はロシアの関与には言及せず、OPCWへの攻撃を強く非難。「こうした脅しや攻撃はEU域内の安全保障を強化し、外国情報機関による敵対的活動を検知し防止する能力を高めるという共通の決意をさらに強固にする」と表明した。また、来年5月の欧州議会選挙をにらみ、ソーシャルメディアなどを通じて拡散される偽情報による選挙への介入を防止する取り組みの強化も明記した。

EUのトゥスク大統領は首脳会議終了後の記者会見で、「制裁はあらゆるサイバー脅威からEU市民や企業、機関を守るものだ」と強調。サイバー攻撃を抑止するため、EUが制裁を発動する制度の必要性を訴えた。