欧州中央銀行(ECB)は25日に開いた定例政策理事会で、量的金融緩和を予定通り年内に終了することを確認した。ユーロ圏では米国の保護主義に起因する貿易戦争、イタリアの財政不安といった景気の懸念材料があるものの、方針転換の必要性はないと判断した。
ECBはユーロ圏のデフレ回避と景気下支えを目的に、ユーロ圏の国債などを買い入れる異例の量的金融緩和を15年3月から実施してきた。しかし、欧州で緩やかな景気回復が続いていることから、6月の理事会で年内終了を決定。毎月の購入額を10月から半分の150億ユーロに削減し、来年1月から購入を打ち切る方針を打ち出した。
ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏では貿易戦争による輸出の減少、イタリア政府が財政再建を後退させたことで、債務危機が再燃する懸念が浮上していることに言及しながらも、直面しているのは「景気の勢いが弱まることで、景気低迷ではない」と発言。「ECBが基本シナリオを変更するほどの変化か?答えはノーだ」と述べ、量的緩和打ち切りに関する方針を維持する意向を表明した。
イタリアの財政問題については、2019年予算案をめぐって欧州委員会と政府が対立しているが、ドラギ総裁は「双方が合意できると確信している」と述べた。
同日の理事会では、主要政策金利を0%、中銀預金金利をマイナス0.4%に据え置くことを決めた。今後の金利政策については、超低金利を少なくとも2019年夏まで継続することを改めて確認した。