ソニーによるEMI子会社化、欧州委が認可

欧州委員会は26日、ソニーの米子会社ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカが音楽ソフト大手の英EMIミュージックパブリッシングを完全子会社化する計画を認可したと発表した。ソニーはこれまでEMIに約40%を出資し、残り60%超を出資するアブダビ系のファンドと共同でEMIを保有・管理してきた。このためソニーが単独でEMIの経営権を取得しても、成長分野のオンライン音楽市場などでソニーのシェアが大幅に拡大するとは考えにくく、競争が阻害される恐れはないと判断した。

ソニーは5月、アブダビ系ファンドのムバダラインベストメントが保有するEMIの全株式を約19億ドルで追加取得すると発表した。EMIは英ロックバンドのクイーンや英歌手のサム・スミスなど人気ミュージシャンの版権を保有しており、取引が成立するとソニーは200万を超える楽曲の音楽著作権を取得することになる。

これに対し、独立系音楽レーベルで構成する業界団体インパラは、ソニーによるEMIの子会社化が実現した場合、オンライン音楽市場を中心にソニーの支配力が強まり、競争が阻害される可能性があると主張。欧州委に対して同計画を阻止するよう要請していた。

インパラのヘレン・スミス会長は「EMIの完全子会社化によってソニーは音楽チャートをほぼ独占し、作詞家、作曲家、独立系レーベル、音楽出版社、音楽配信事業者、そして音楽ファンを含めた業界全体が損害を受けることになる。今回の決定はイノベーションと欧州における文化的多様性を阻害するものだ」と述べ、欧州委の決定を強く批判した。

上部へスクロール