欧州議会が重量車の排ガス規制案可決、30年までに35%削減へ

欧州議会は14日の本会議で、2030年を達成期限とする重量車の排出ガス規制案を賛成多数で可決した。EU域内で販売されるトラックやバスなどの新車を対象に、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに19年比で35%削減することをメーカーに義務付けることが柱。同年までに30%の削減を求めた欧州委員会の原案より厳しい内容で、業界団体からは反発の声が上がっている。最終決定に向けて近くEU加盟国との交渉に入るが、自国に有力メーカーを抱える一部の国が規制の厳格化に反対する可能性もあり、調整は難航が予想される。

EUではすでに乗用車と軽商用車を対象に、20年までのCO2排出目標を定めて規制を実施しており、30年を達成期限とする新たな規制案についても欧州議会の採択を経て、加盟国との交渉が進められている。一方、重量車は用途によって形状やサイズなどが異なるため画一的なルールを適用することができず、これまで法制化が見送られてきた。

欧州委が今年5月に打ち出した規制案は、域内で販売されるトラックやバスのCO2排出量を25年までに19年比で平均15%削減することをメーカーに義務付け、30年には同30%の削減を求めるという内容。これに対し、欧州議会は今回、削減目標をそれぞれ20%、35%に引き上げる修正案を賛成373、反対285(棄権16)で可決した。

規制案は排出削減目標のほか、環境対応車の販売シェア目標も設定している。メーカーは電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などCO2をまったく排出しないゼロ排出車と、排出量が従来と比べて50%以下の低排出車の販売シェアを25年までに5%、30年までに20%に引き上げる必要がある。

欧州自動車工業会(ACEA)は欧州議会や加盟国に対し、25年までのCO2削減目標を19年比で7%、30年の目標を同16%とするよう働きかけていた。今回の動きを受け、ACEAのヨナー事務局長は「欧州議会はトラックの電動化は乗用車と比べてはるかに難しいという事実をまったく無視している」と非難した。

上部へスクロール