スイス政府は11月30日、来年1月から国外の証券取引所によるスイス企業の株式の取り扱いを許可制とし、EU内の取引所については取り扱いを禁止する内容の政令を制定した。EUが1年前に打ち出した、スイス証券取引所をEU市場から締め出す動きへの対抗措置で、EU側が年末までにスイス証券取引所を域内の取引所と「同等」と認めない場合、EU内の証券取引所はスイス企業の株式を扱えなくなる。
EUとスイスの間では2014年以来、二国間枠組み条約の締結交渉が行われており、金融部門では株式市場の「同等性評価」が最大の争点になっている。EUは昨年12月、スイス証取に付与した同等性評価を18年末で打ち切る意向を表明した。これは来年3月に迫った英国のEU離脱を控え、域外から単一市場へのアクセスを制限する狙いがある。
EUの動きを受け、スイスは6月、スイス企業の株式を取り扱う全ての外国証券取引所にスイス政府への許可申請を義務付け、EU内の取引所については許可を与えない方針を打ち出した。年内に同等性評価が更新された場合、スイス側もEU内の取引所に許可を与えるとしていたが、EU側が先週、「更新を正当化する十分な進展がなかった」と表明したことを受け、許可制の導入と、EU内の取引所によるスイス株式の取り扱いを禁止する政令の制定に踏み切った。
スイス政府は声明で「すべての市場参加者にとって最善の解決策は、EUが同等性評価を迅速かつ無制限に延期することだ」と指摘。12月31日までにEU側が同等性評価を更新すれば、スイス側もEU内の取引所に対する禁止措置を取り消すと説明している。
欧州委員会の報道官は「スイス側の決定と現在の状況を精査し、数日内に今後の対応について協議する」と述べた。