欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/28

EU産業・貿易

EUのメントールたばこ禁止は不当、ポーランドが欧州裁に提訴

この記事の要約

ポーランド政府は21日、EUがたばこ規制でメントール、バニラ、フルーツなど香りを付けた製品の販売を禁止したのは不当として、欧州司法裁判所に提訴すると発表した。同国ではメントールたばこが伝統的製品として広く普及していること […]

ポーランド政府は21日、EUがたばこ規制でメントール、バニラ、フルーツなど香りを付けた製品の販売を禁止したのは不当として、欧州司法裁判所に提訴すると発表した。同国ではメントールたばこが伝統的製品として広く普及していることから、例外として規制の対象から外すよう求める。

欧州議会で2月に可決した「たばこ製品の製造・広告・販売に関する指令」の改正案には、香り付きたばこの販売禁止や電子たばこの制限、パッケージでの健康被害に関する警告表示の強化などが盛り込まれている。2016年に施行される。

ポーランドはEU有数の喫煙国で、世界肺財団によると1人当たりの年間喫煙数は1,586本と、英国の2倍の規模に達している。とくに1953年に登場したメントールたばこが人気で、販売されているたばこの2割を占める。スウェーデンの1割、スペイン、オーストリア、スロバキアの100分の1を大きく上回る水準だ。

EUは同規制で、香り付きたばこにはたばこ本来の味や香りがなく、手を出しやすいことから若者の喫煙のきっかけになるとして、販売禁止を決めた。しかし、ポーランドはメントールたばこが他の加盟国の禁止対象となった製品と異なり、社会に根付いていることから、規制対象外とすることを求めて争う。

業界団体は、同国がEU2位のたばこ生産国で、販売禁止によって関連産業の従業員6万人のうち半数の3万人が失職し、国家の税収も年90億ズロチ(約30億ドル)減るとして、政府の提訴を歓迎している。