欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/28

EU産業・貿易

欧州委、LCR規制の導入先送り提案

この記事の要約

銀行に流動性の高い資産の保有を義務づける規制の重要項目となる「流動性カバレッジ比率(LCR)」をめぐり、欧州委員会が規制導入の先送りを提案していることが24日明らかになった。ロイター通信などが伝えた。 LCR規制は、バー […]

銀行に流動性の高い資産の保有を義務づける規制の重要項目となる「流動性カバレッジ比率(LCR)」をめぐり、欧州委員会が規制導入の先送りを提案していることが24日明らかになった。ロイター通信などが伝えた。

LCR規制は、バーゼル銀行監督委員会が金融危機の再発防止のため導入する国際的な銀行資本規制「バーゼルⅢ」の柱のひとつで、信用収縮が起きた場合でも30日間は資金繰りに行き詰まらないようにするため、換金性の高い資産を十分に保有することを銀行に義務づけるというもの。2015年1月1日から段階的に導入され、銀行は15年1月にLCRを60%以上とし、その後は毎年10%ずつ引き上げ、19年から100%以上とすることが求められる。

ロイターが入手した文書をもとに報じたところによると、欧州委は、「技術的複雑性、利害関係者との協議、各国の専門家などのディスカッションが6月まで続いた」ため、LCRに関連する法令の策定作業が遅れたと説明。LCRの導入開始時期を9カ月先送りして15年10月1日とすることを提案している。

欧州銀行監督機構(EBA)が3月に公表した、域内174行を対象とするLCR基準の達成度に関する調査報告書によると、13年半ば時点で全体の3分の2の銀行が60%の最低基準をクリアしており、基準を下回ったのは14%だった。