欧州委がテレフォニカに異議告知書、買収に絡んだ是正措置不履行で

欧州委員会は22日、スペインの通信最大手テレフォニカによる独携帯電話サービス大手Eプラスの買収をめぐり、テレフォニカのドイツ子会社が買収認可の条件となった是正措置を履行しなかったとして、同社に異議告知書を送付したと発表した。買収認可を得るための是正措置を実行しなかった企業に欧州委が異議告知書を送付したのは今回が初めて。テレフォニカ・ドイチュラントには4月5日まで反論や事情説明の機会が与えられる。

テレフォニカは2013年7月、オランダ通信最大手KPN傘下のEプラスを総額85億5,000万ユーロで買収することで合意した。欧州委は同年12月、買収が成立して加入者数で独3位のEプラスと同4位のテレフォニカ・ドイチュラントの統合が実現すると、ドイツで独自の通信ネットワークを保有する大手携帯電話サービス会社が4社から3社に減り、大手による寡占化が進んで健全な競争が阻害される恐れがあるとして本格調査に着手。特に自前の回線を持たない仮想移動体通信事業者(MVNO)の事業拡大や新規参入が妨げられる可能性があるとの見方を強め、14年2月にテレフォニカに異議告知書を送付して買収を認めない方針を表明した。

テレフォニカはこれに対し◇統合新会社が保有するネットワーク容量(帯域幅ベース)の最大30%をMVNOに固定料金で譲渡する◇保有する無線周波数幅および関連資産を新規参入者に提供する◇テレフォニカおよびEプラスが提携関係にあるMVNOと結んでいる2G・3Gのホールセール(通信網の有償リース)契約を他社にも適用し、4Gのホールセールサービスも適正料金で提供する――という3項目の是正策を提案。欧州委は一連の措置を通じて競争上の懸念は解消されると判断し、14年7月に買収計画を承認した。

欧州委によると、テレフォニカは買収認可の条件となった是正措置のうち、4Gネットワークへのアクセスを求める全ての事業者にホールセールサービスを適正料金で提供するという義務を十分に果たしてこなかった。最終的に欧州委が履行義務違反と判断した場合、テレフォニカ・ドイチュラントは年間売上高の最大10%の制裁金を科される可能性がある。

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