資産運用・保険会社にESG情報開示義務、欧州議会と加盟国が合意

欧州議会とEU加盟国は7日、資産運用会社や保険会社などの機関投資家に対し、環境や社会問題、ガバナンス(企業統治)に関連したリスクと機会についての情報開示を義務付ける法案の内容で基本合意した。情報の透明性を高めて気候変動対策をはじめとするサステナビリティ事業への投資を促す一方、環境問題への取り組みを誇張して投資家をミスリードする「グリーン・ウォッシング」を排除するのが狙い。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールを導入する。

機関投資家に対する情報開示ルールは、欧州委員会が2018年3月に発表した「持続可能な成長のための金融(サステナブル・ファイナンス)に関する行動計画」に基づき、昨年5月に提案した法案の1つ。行動計画は環境や社会的課題に取り組むサステナビリティプロジェクトへの投資促進や、気候変動や資源の枯渇といった環境の悪化や社会問題が金融市場に及ぼす財務リスクの管理などを柱とする内容で、10項目から成る。

法案によると、資産運用会社、保険会社、年金基金、投資アドバイザーなどは受託者責任の一環として、環境・社会・ガバナンス(ESG)の課題に対応しなかった場合の将来的なリスクと、課題の解消に取り組むことで得られる新たな収益や事業機会について、投資家に正確な情報を開示しなければならない。ESGのリスクと機会を投資決定プロセスに組み込むことで、投資家は環境規制に対応できず、罰金を科される恐れのあるプロジェクトなどへの投資を回避し、持続可能な成長に貢献するプロジェクトに資金を投入しやすくなる。

EU議長国ルーマニアのテオドロビチ財務相は「EUは特定のプロジェクトへの投資が環境や社会に及ぼす影響を正確に理解したうえで意思決定がなされるための、透明性の高い枠組みを構築しようとしている」とコメントした。

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